DOCTOR-NISHINOMIYA-KITAGUCHI
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再生医療について
再生医療という治療が日本で行われています。比較的新しい治療で、将来はとてもユニークな治療になって、今まで治らなかった病気が治るようになると思います。ただ現状では私自身はかなり危険な治療と考えています。そういう理由で、当院では今はこの治療は絶対にやるつもりはありません。
実際にどういう方が対象になっているかというと、アトピー性皮膚炎、糖尿病、肝機能障害、慢性の痛みなどが対象になっています。治療としては脂肪吸引などで患者さんの脂肪を少し採取します。それを幹細胞の点滴製剤を作成するどこかの会社に送って、培養によって幹細胞の点滴を作成してもらいます。これに1ヶ月程度を要するということになっています。
理論としてはいろいろの細胞になれる可能性のある幹細胞の点滴を行うことでその患者さんの体の中でSOSを出している組織にこの幹細胞が運ばれて、その器官を助ける細胞になってくれるわけです。たとえば糖尿病の方にこの点滴をすると膵臓のインシュリンを分泌する細胞になってくれるわけです。この細胞が増えるといずれ糖尿病の症状が軽くなるとか、治ってしまうということになるのです。現在何回かの点滴をすれば一部の方には無効であっても多くの場合改善する可能性がかなり高くなるということがわかっています。現時点では上記の病気が治療可能になりそうということになっています。実現すれば夢のような話ですよね。
ただ現状では問題が多くあり、私自身はまだ飛びついてはいけない治療と考えています。どうみてもまだ研究段階と言わざるを得ないと思っています。費用も1回の点滴で200万円とか300万円ということになっているようです。一つの問題は点滴製剤を作成する会社が多数あって、これが優秀な会社なのかかなり問題がある会社なのか医師である私たちもわからないという問題があります。作成された点滴製剤の中に治療に必要な幹細胞が十分な質と量で入っているかどうかをクリニック側で確認できないという問題があります。また、現状では正しく作成された点滴をしていても稀に肺塞栓が起こり、呼吸ができなくなるという事故も発生しています。残念ながら日本では今までに4人の患者さんが亡くなられています。これはどう考えても危険な治療ということになりますよね。
今後肺塞栓が絶対に起きず、効果のある点滴製剤を作る方法の確立、はるかに安い費用での治療が可能になること、などがクリアされれば将来はこういう夢のような治療が当たり前の治療になると思います。その中には肌質を良くするものやシワやシミ、たるみなどを改善するものも含まれてくると思います。多くの楽しい治療の世界が広がっていると思うのですが、現状では亡くなる方があり、今はまだ危ないからやってはいけないと止めてあげるのが医師としての正しい姿勢ではないかと思っているわけです。